全体的に発行部数が減少しつつあり、苦境に立つ新聞業界。無料で公開しているウェブ版の利用者は増えても、広告収入はあまり上がらないようだ。そのため、サイトの有料化を検討している新聞会社が数社ある。例えば、米国の New York Times や英国の The Times や日本の日経新聞など。しかしサイトを有料とすれば、読者が離れる危険がある。
上記にあるようなウェブ版の有料化の動きに反するように、ロンドンの夕刊紙 London Evening Standard は昨年10月、紙の新聞の無料化に踏み切った。無料にすることで、部数と読者数を増やし、紙面での広告収入増加を経営方針とした。どうやらこの判断は成功した模様で、2009年第4四半期の読者数は137万。流通した部数は60万部で、一部あたり2.3人の読者がいるという計算。
もちろん他の新聞も無料にすれば良いということではない。ロンドンには他にもタダの夕刊紙があったため、わざわざ Evening Standard を買う人が減ったという事情もあった。そして共倒れの形で他のフリー・ペーパーは撤退した経緯がある。また、人口の大きい都市で公共交通機関の利用者が多いので、回し読みもあり、必然と読者数も多くなる。
ウェブの有料化や紙の新聞の無料化など、インターネットあるいは紙という媒体ごとに更に実験を試みないといけないほど、新聞業界にとって厳しい状況は続く。そして「新聞」とは何か、考え方が変わるだろうか。