2012年フランス大統領選挙:マリーヌ・ル・ペン氏得票率18%

2012年4月23日

経済が停滞する中、ヨーロッパの多くの国々で、右傾化という現象が続くかもしれない。このような状況では、極端な政治に打開を求め、右傾化とともに左傾化も見られるだろうか。しかし、右傾化と左傾化で相殺、というわけでもなかろう。

さて、フランス大統領選挙の第1回投票で、国民戦線のル・ペン氏が約18%の得票率をもって、社会党の候補のオランド氏と現職のサルコジ大統領に次いで、3位になったことが、大きなニュースとなっている。2002年大統領選挙では、ジャン=マリー・ル・ペン氏が得票率16.9%で決選投票に進んだが、その時以上の支持を誇っていることを示している。

5月6日の決選投票に向け、左派はほぼまとまって社会党のオランド氏支援に回るだろうから、劣勢と伝えられているサルコジ大統領が再選されるには、浮動層や中道右派の有権者の支持を得るとともに、第1回投票でル・ペン氏に票を投じた人々を惹き付けなければならないだろう。良い表現は思いつかないが、あまり極端に右傾せず、それでも国民戦線の票を取り込むために充分に右傾する、といったところだろうか。もしサルコジ大統領が再選されたら、政治の軸がより右に寄ることになるかもしれない。

国民戦線は、大統領選挙後の国民議会選挙を意識している模様。フランスの選挙区は1人区で、第1回投票で投票率25%以上で過半数の票を得た候補がいない限り、第2回投票が行われるという制度となっている。そのため、国民戦線はある一定の支持を得ていて、第1回投票で有利であっても、第2回投票で国民戦線に反対する候補に票が集まり、敗退することが多い。国民議会選挙で国民戦線が議席を獲得できるかどうか、それがフランスの右傾化の目印となるだろう。