ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州選挙

2012年5月14日

昨日2012年5月13日に行われたノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州選挙で、社会民主党が得票率前回比4.6%増の39.1%で第1党となり、11.4%(前回比0.8%減)を獲得した緑の党と連立を組むことになった。一方、キリスト教民主同盟の得票率前回比8.3%減で26.3%となった。自由民主党は得票率8.6%(1.9%増)と最近のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州同様に5%を超えて、ようやく党勢回復と呼べるだろうか。海賊党も得票率5%以上を獲得している。一方左翼党は支持を落とし、2.5%の票を得たのみとなった。

ちなみに、ノルトライン=ヴェストファーレン州の前回の選挙は2010年に行われて、会期は2015年までのはずだった。しかし、2010年の選挙結果は、左翼党が5.1%の票を得て議席を獲得したため、中道左派の社会民主党と緑の党、中道右派のキリスト教民主同盟と自由民主党、いずれの連立も過半数に届かず、大連立もなく、結局、社会民主党と緑の党が少数政権を組んでいたが、予算が否決されたため、会期途中に解散。付け加えると、今年行われた他の州選挙(ザールラント州とシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州)も、同じく会期途中で解散したために行われた。ザールラント州選挙では、2009年に発足したキリスト教民主同盟・緑の党・自由民主党の「ジャマイカ連立」が解消されて、大連立交渉も頓挫し、選挙となった。シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の選挙は、議席配分について、州の憲法裁判所が違憲という判決を下したために行われた。

このノルトライン=ヴェストファーレン州の選挙結果は、来年に総選挙を控えているメルケル政権にとって打撃だが、もともとノルトライン=ヴェストファーレン州は社会民主党の牙城とも呼べる場所であった。シュレーダー政権下で社会民主党は大幅に議席を減らした経緯があるので、国政と関連付けることもできようが、これは連邦制での州の選挙であり、必ずしもメルケル政権が不信任を突きつけられた、あるいは社会民主党が総選挙で同じような支持を得ると決めつけることはできない。そして、これは反緊縮財政と捉えることはできないだろうし、この結果を受けて、メルケル首相がヨーロッパにおいて、構造改革なしでの財政出動に合意することはないだろう。