経済的にも政治的にも、ヨーロッパ、特にユーロ圏で最も重要な国はドイツ。そのドイツの総選挙(連邦議会選挙)が、来る日曜日9月22日に行われる。
世論調査によれば、「同盟」 Union ことキリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟(CDU・CSU)の会派が連邦議会で最大勢力となり、メルケル首相が続行することは、ほぼ間違いないが、連立政権が常態なドイツなので、連立を組む相手がどの政党となるかが、現在最大の焦点。現在連立を組んでいる自由民主党(FDP)は、一時期州議会選挙で惨敗が続き、支持する政党を尋ねた世論調査では連邦議会に議員を送るために必要な得票率5%に至らない時期があったし、直近2013年9月15日のバイエルン州議会選挙では5%に届かなかったが、ドイツ全国的にはどうやら5〜6%ほどの得票が見込めるらしい。
公共放送局ZDFの世論調査によると、CDU・CSU40%、FDP5.5%で45.5%となり、それに対して、現在野党の社会民主党SPDは27%、緑の党9%、左翼党8.5%、合計44.5%で、現在連立を組んでいる政党が僅差で勝利し、過半数を確保する。しかし、世論調査の結果にはばらつきがあり、まだまだ結果は予想できないというのが実情。
FDPが5%割れする可能性もあるし、またユーロ圏脱退を掲げ、日本語の定訳はまだないようだが「ドイツのための選択肢」と呼ばれるAfD Alternative für Deutschland という新政党の支持率がおよそ4%で、中には5%を超えるという世論調査結果もあるそうだ。一時期は既成政党への批判の受け皿となった海賊党は、ドイツの4州議会に議員を送ることに成功したが、政策や人事などでゴタゴタがあって、支持率を落として、連邦議会での議席獲得の可能性はなさそう。
CDU・CSU、SPD、緑の党、そして左翼党は連邦議会に議員を送ることになるだろうが、FDPとAfDが5%票を得ることができるのか、実際に開票が終わらないと分からないだろうし、次期政権与党がどの政党になるか判明するまで、選挙結果によっては時間がかかりそうだ。もしCDU・CSU・FDPが過半数を得られない場合、メルケル首相はSPDとの大連立、それとも緑の党との連立という選択となるだろうか。
いずれにせよメルケル首相続行となるであろうから、国内そしてヨーロッパ政策における根本的な政策転換はおそらくないと見てよいのか、それとも再選を果たし次回の総選挙まで時間があるので、ヨーロッパでの財政出動に関してやや柔軟な姿勢を見せることもありうるだろうか。
Frankfurter Allgemeine Zeitung: Ausgang der Wahl noch völlig offen