リビア:カダフィ大佐死亡

2011年10月20日

国民暫定評議会勢力がトリポリを制圧してからおよそ2ヶ月、中々陥落しなかったシルテで交戦が続いていたが、今日、カダフィ大佐が逃走中に攻撃を受け死亡したという。指導者が死亡し、拠点もなく、資金も人員もなくなりつつあるカダフィ派勢力には再興の気配はなく、これで内戦は終了するはず。

しかし、現在の戦時体制から民主制に移行するのは易しいわけではない。リビアは部族社会でもあり、これから求心力がありかつ正統性のある政府ができるまで、時間がかかることも予想される。内戦に陥らなかったエジプトでも革命後、混乱や対立が続いていることを見れば、これからまさに難題が山積みになっていると考えても良いだろう。

ここ半年ほどのリビアの状況はNATOによる空爆、そして地上における内戦という構図だった。NATO介入は内戦という状態になって始めて行われ、国民暫定評議会という反カダフィ組織が存在していたため、戦後処理の道程がもっとはっきりとしていた。もしNATO介入がなかったら、おそらくカダフィ大佐が内戦で勝利しただろうが、NATO地上部隊の不在により、リビアはリビア人によってカダフィ独裁政権から解放されたという、いわば「神話」あるいは「叙事詩」ができる。来るべく政府そして新しいリビアという国にとって、この神話はかなり重要となるし、正統性の礎ともなる。これが戦闘後の計画が無に等しかったアフガニスタンそしてイラクとの差かもしれない。

さて、リビアは将来どのような国となるだろうか。