米英仏を主軸としたリビアへの軍事行動が続いている。国連安保理決議第1973号が承認されてからもう1ヶ月以上経過し、まだまだどのような型で決着するのか、かなり不透明。介入している側はもう本音を隠さず、カダフィ大佐の政権の崩壊を目指している。ただ大規模の地上部隊派遣は安保理決議に反することもあり、恐らくないだろう。あるとすれば小規模の特殊部隊派遣だろうか。
これだけ長くカダフィ大佐の政権が持ち堪えるとは米英仏にとっては計算外だったかもしれない。空爆のみによる政権崩壊は難しいところがあるし、やはり最終的には地上での戦闘で物事は決まるのだろう。反カダフィ勢力も敗退は逃れたものの、攻勢を仕掛けるほどでもないようなので、まだまだ戦闘は続きそうだ。危惧されていた内戦の泥沼化は避けられない模様。
これまで中東と北アフリカで反政府デモが起きたのは、どちらかと言えば「西側諸国」に近い国々だった。例えばチュニジア、エジプト、バーレーンと言ったように。カダフィ大佐も核兵器開発放棄と引き換えに西側と接近した経緯がある。米国が目の敵としているイランとシリアでは比較的安定していた。しかし、ようやくだろうか、シリアで大規模な反政府デモが起こり、鎮圧部隊の行動により死傷者が多数出て、一気に緊張が高まっている。
シリアでもしリビアに似た状況となったら、西側諸国はどのような対応をするのだろうか。軍事的にはリビア介入で手一杯かもしれないし、国連安保理で必要となる決議の承認を得ることは難しいかもしれない。なぜならば、現在リビアに介入している国々は安保理決議第1973号を拡大解釈して、カダフィ大佐の政権崩壊を目指しているから。
今年は本当に中東・北アフリカ激動の年となりそうだ。