2001年、英国で口蹄疫が大流行した。当初、被害が広まることを防ぐことができず、結局600万頭ほどの羊(490万頭)・牛(70万頭)・豚(40万頭)が殺処分となった。この600万頭という数字に、更に400万頭ほどの子羊・子牛・子豚が殺処分されたともいう。とにかく、まだ『狂牛病』こと牛海綿状脳症の影響が記憶に強く残っていた時期で、英国の畜産業に大打撃を与えた。
最初の発症例から短期間は発生した場所あるいは近くで殺処分、そして死骸はそのあと1カ所にまとめて処理していたが、次々と発症例が報告されて、その場での殺処分そして死骸の処理を行うようになった。歯止めをかけるために、農水産食糧省(Ministry of Agriculture, Fisheries and Food)は発症した場所から半径3キロ以内の羊の殺処分を指示した。そして人・動物・車と物の移動制限を設け、消毒作業を徹底させた。しかし、口蹄疫を止めることはできず、発症例は増加する一方で、ついには軍隊が殺処分を行うようになり、高く積もられた牛や羊の死骸を焼く火が夜空にのぼる映像が毎晩トップ・ニュースとなったことを覚えている。
宮崎県で口蹄疫が発生しているというニュースを聞くと、あの火を思い出し、心が重たくなる。