ロシア | 火酒に最低価格

2010年1月2日

ロシアの酒といえば喉が焼けそうになるウォトカ。火酒とは良く訳したもので、もちろん喉越しがまろやかなウォトカもあるが、味より殺菌効果がありそうなのがより一般的。このような度数の高い酒を大量に飲むため、アルコールはロシアの社会問題の多くの根源となっていると言われている。アルコール依存症の人も多く、健康問題そして社会治安をも脅かすので、なんとか摂取量を減らすことを推進しようと、ロシア政府はウォトカに最低価格を設定することにした。500㎖あたり89ルーブル(現在のレートで約275円)がその値段。

確かに高くなれば、酒を買えず、飲みたくても飲めなかったり、その値段だったら他のものを買った方が良いと思う人が増えて、飲む量が減るかもしれない。しかし、アルコール依存症の人は、どうやってでも酒を手に入れ飲むので、値段の上昇の効果の方はわからない。酒を飲みたいばかりに犯罪を犯す人もでるだろうし、アルコールが入っていれば化粧水でもスプレーでも飲む人もいるだろう。そしてロシア市場に流通しているウォトカの約50%が酒税を払わない密造酒。正規の酒が高くなれば、密造酒が増えてもおかしくない。もちろん取り締まり強化などの方法もあるが、根本的なアルコール依存症対策にはならない。

文化の変化と教育の向上を待つのが最善というが、これは将来の話であって、現在アルコール依存症の人とどう向き合うのか、ロシア以外でも飲酒の若年化と飲酒量の増加という傾向が見受けられる社会にとって頭の痛い問題だ。