英国 | 羊頭狗肉(魚肉偽装)

2009年7月15日

その昔の中国・斉の国で、君主である霊公が女性が男装することを禁じたが、宮中では禁じなかった。国で法令が遵守されないことに苛立った霊公が、晏嬰にこの件を問うたところ、国には禁じたのに宮中では許しているという二重基準にあたる霊公の行いは、「牛首を懸けて馬肉を売るようなもの」と晏嬰は答えた。それが転じて、上等で高い肉の羊の頭を看板として掲げ、羊肉を売ると見せかけながら、実際は犬の肉を販売するという、羊頭狗肉という表現ができたという。

さて、所も時代も違うが、英国の(不味い)食べ物で有名なものと言えば fish and chips。数ある魚の種類でも、北大西洋で獲れるタラ(cod)の人気が根強い。最近は乱獲のため、タラの水揚げ量は減り、値段は高くなった。

そこで、見た目は似た、ベトナムの養殖カイヤン(pangasius)を『タラ』として売るフィッシュ・アンド・チップ屋が増えているという。値段もタラに比べると安いし、供給が安定している。しかし身がタラに比べるとすぐに崩れてしまうので、分かる人には分かる。

この不況時、値段を下げなければ競争に勝てない店主、そして安くタラを食べた気分になりたいと自分を騙す客が多くなっているのかもしれない。