不支持率が80%を超えた世論調査もあるらしく、かなり弱い立場にある麻生首相。しかし、これほど弱くなると、逆に強く出ることができるとも言える。
つまり次回総選挙でほぼ落選確実な自民党議員を糾合し、吹っ切れて(あるいは自棄になって)自分の信ずる政治を行う。暴走と言えば暴走⋯⋯具体的で分かり易い一大政策を国民に提示して、その是非を党内外に問い、政治の対立軸を「麻生政権」対「野党」から切り離し「麻生自民党」対「それ以外」にわけ民主党や他の野党を蚊帳の外に置く、「小泉元首相流劇場型」の政治手法だ。次年度の予算等の国会運営のなかでの成功率は低いだろうが、もはや他に策はないように思える。
「麻生首相降ろし」という空気が自民党内でも流れているようだが、総選挙なしで4人目の党首・首相を選べば、国民への説明もできまいし、勝算ないのに負ける選挙の顔となりたい政治家も少ないだろう。またいくら新党首となっても、これから劣勢を挽回するほどの人物も世論調査を見る限り、国会議員として引退する小泉元首相以外、自民党内には見当たらない。麻生首相を辞任させ、新党首・新首相になれば勝機ありという議員数は、時間が経てば経つほど任期満了という動かないタイムリミットがあるため、少なくなる。
麻生首相を追い詰めれば、最後の手段として解散権を行使され風当たりの強いままで選挙、落選の憂き目に遭う。ここまで支持率が落ちると、議員の心理として、「新しい首相になれば勝てるかもしれない」から「誰が党首でも私は落選する」となり、「どうせ落選するならば⋯⋯」と、大胆な行動に出るかもしれない。
もちろん議員として身の保全のために離党などの動きもあるだろうが、ひょっとしたらこれからが麻生首相の政治的指導力と手腕の見せ所?