サッカーのワールド・カップまでもうあと僅か。しかし、開催国のブラジルでは、競技場が未完成であったり、インフラ整備が整わず、準備不足が心配されている。今年はワールド・カップ、2年後にはリオ・デ・ジャネイロで夏季五輪と、2大スポーツ大会を開催するので、例えば財政的な不安もあるだろうが、それ以上に、世界各国の選手やメディアや観客を受け入れる準備ができているか、注目されている。中国やロシアのように、政治体制を正当させるような行事ではないかもしれないが、ブラジルが経済的そして政治的に世界の大国の一員となることを示す節目。成功すれば、ブラジルの国際的地位は高まり、印象はよくなるだろう。
上記の対外的要素の他に、このようなスポーツ大会を開催する意義を国民に伝え、国民の合意を得ることも必要だろう。ここにも問題がある模様で、前年のコンフェデ杯の時にも、抗議運動があった。ワールド・カップと五輪の準備は、社会インフラの整備を伴うはずだったのだが、どうやら競技場などの準備で手一杯であり、インフラという面で上がるはずだったブラジル国民の生活水準が上がっていないらしい。W杯にしろオリンピックにしろ、開催するには多額の支出となり、国民の生活を考えれば、果たして妥当なのか、議論の的となっている。
ワールド・カップを凌いでも、すぐにオリンピックの準備にとりかかることになるだろう。サッカーW杯と夏のオリンピックは、共に大規模なイベントだが、性質は違い、必要とされる計画や準備は異なるように思う。ワールド・カップは期間が比較的長く、会場も分散されている。それぞれの会場に多くの人々が訪れるし、国内の広域のインフラ整備が必要となる。一方、オリンピックは参加国・地域や参加する人数も多く、多くの人々が短期間に一都市に来るため、それだけ重点的な対応を要する。
大会期間中にニュースとなるのが、スポーツだけであれば良いのだが、どうなるだろうか。