ロンドン五輪開幕まであと9日。しかし、天気は悪いし、公共交通機関にも不安が残るし、警備の準備が万端というわけではない。果たして大丈夫だろうか。
ここ数週間、天気はかなり悪く、雨がよく降っている。偏西風が通常よりも南にあるため、北からの冷たい空気が英国まで南下し、温暖な空気に当たり、雨になっているらしい。もちろんこの影響は、英国に限ったことではなく、世界各地で異常気象とも呼べるような事態が続いている。そして、これはロンドン五輪に携わる人々が変えることはできない。ただ、寒く、暗く、雨ばっかりの五輪は、やはりあまりよくないというか夏らしくない。テレビの天気予報コーナーでは、偏西風の位置が通常に戻るという楽観的な見方が紹介されていた。少なくとも雨の日よりも晴れの日が多いことを願うのみ。
天気はまさに気まぐれで、人力ではなんともしがたいが、他にも心配要素がある。例えば、公共交通機関。地下鉄と鉄道では、人身事故という理由もときとしてあるが、車両や信号の故障による遅延や運休が、最近減ったとは言え、かなり頻繁に発生する。五輪期間中、遅延・運休がゼロだったならば、快挙ということになる。この五輪を機会に、新路線敷設など輸送能力を高めるような大型インフラ整備はなかったので、朝夕の地下鉄や電車はかなり混むことになりそうだ。すでにラッシュ時はすし詰め状態。そのため、輸送能力は、ラッシュ時を除けば、全路線平常運行でなんとかなりそうだが、ある路線や駅で問題が発生すれば、混乱に陥るだろう。いくら代替ルートがあるとは言っても、例えば、ストラットフォードのオリンピック・パークやノース・グリニッジ・アリーナなど数カ所の会場とロンドン都心部を結ぶ、ジュビリー線が運転見合わせとでもなったら、かなり大変な事態となりそう。ちなみに地下鉄には冷房がないので、気温が高いと、かなり蒸し暑くなるので、この点に関しては、晴れた暑い日よりも雨の寒い日が良いだろうか。
ここ連日、大ニュースとなっているのが、五輪の警備を請け負った民間会社のG4Sが、警備員数を確保することができず、結局、軍と警察が臨時で警備に当たる事態となったこと。軍は3500人を派遣することになったし、会場に来るはずだった警備員が現れず、警察が臨時派遣されたりと、散々な状態。会社の上層部に人員不足という情報が伝わったのは数日前だというので、かなり杜撰な運営にも見える。とにかく、五輪会場は一箇所ではなく、数多くの場所で、同時にかなりの人数が必要で、リハーサルしたわけではなく、ぶっつけ本番だから、開会式や大会競技が本格的に始まる日はどうだろうか。会場に入れなかったり、競技開始前に入れなかったりする人がでるかもしれない。
駆り出される軍人の多くは、アフガニスタンでの任務を終えての休暇を返上するというし、警察を多く動員すると、手薄となり、日常の警察任務に支障をきたす恐れがあるだろう。また会場での保安検査などは、通常、軍や警察の役ではない。テロ行為や犯罪の防止が軍や警察の役目であり、予期されていた以上に軍人や警察官が動員されても、主任務を疎かにすることはできない。
英国のメディアは、ときとして、ダメだダメだと始まる前は大騒ぎして、滞りなく終わったら、良かった良かった、めでたしめでたし、という感じの報道をする。実際そうであって欲しいが、どうなるだろうか。