肥満や健康問題について議論されるとき、大まかに言って、糖質と脂肪どちらかが「悪玉」なのか、意見が分かれている。先日、英国の公共放送局BBCのテレビ番組『Horizon』で、医者の双子が実験台となり、1ヶ月間、一人は糖質偏重で脂肪を排除した食事、そしてもう一人は逆に脂肪偏重で糖質を排除した食事を摂取した。もちろん科学的な実験とは言えないが、観ていて面白かった。
記憶力や集中力あるいは短期の運動にとって、糖質は必要なので、脂肪偏重の食生活はこれらの点で不利。一方、脂肪偏重の食事は多く蛋白質を摂るため、満腹感に達しやすく、摂取カロリー量は糖質偏重の食事よりも少なかった。1ヶ月後、二人とも体重は減ったが、失ったのは体脂肪だけではなく、筋肉質だった。興味深かったのは、コレステロール値には大した変化はなかったと、脂肪偏重では血糖値が上昇して、糖質偏重では血糖値に特に変化がなかったということ。
番組の最後の方では、どちらか一方が悪いのではなく、危険な食べ物は、脂肪と糖質が両方ある場合で、特に半々という割合の時。中毒性があり、ついつい量も多く食べてしまうという、実験やデータに基づいた説が紹介されていた。脂肪中心あるいは糖質中心の食品であれば、そのうちに飽きてしまうのか食べるのをやめるし、他にも野菜なども摂取してバランス良い食生活となるが、脂肪と糖質両方ある食品だと、止め処なく食べてしまい、バランスが崩れるということ。
つまり何かが絶対悪であり、それを除けば肥満にならないというような、簡単な話ではない。健康を維持するには、食べ過ぎない、運動をする、当たり前と言えば当たり前のことだが、それでも今後とも何か一つ行えば痩せるという〇〇ダイエットが流行るだろう。