2026年のNHK大河ドラマは『豊臣兄弟!』で、主人公は豊臣秀吉の弟で補佐役だった豊臣秀長。タイトルに!が付くのは2004年の『新選組!』以来。大河ドラマは戦国〜江戸初期と幕末が多く、戦国〜江戸初期を題材とするものは大体2〜3年に1回、ときに連続する。それだけ知名度がある時代で、日本の歴史の転換期だったと社会的に認知されていて、多くの人の興味を引くからだろうか。合戦シーンがあるので、ドラマチックになりやすいのも要因だろうか。私が観ていたと記憶している大河ドラマは戦国時代を扱ったのが多い。1988年『武田信玄』・1992年『信長』・1996年『秀吉』・1997年『毛利元就』あたり。ただ映像として記憶に残っていはいないし、恐らく他も観ていたが忘れてしまった。
昨年『光る君へ』は平安、今年『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』は江戸中期から後期に入りかけの時代で、幅が広くなるのは良いことだと思う。そして大河ドラマとはテレビのドラマつまり物語でありエンタメで、番組として面白いことが一番大事だと捉えている。歴史に興味を持つきっかけになれば良いので、一々歴史的に正しくないと質すのは、野暮なような。大河ドラマを観てから歴史に興味を持って、自分で史跡を巡ったり本を読んだりして、ここはドラマとは違うぞ⋯⋯と更に探求することに繋がるのが理想ではないか。
豊臣秀長の他に、武田信玄の弟の武田信繁や長宗我部元親の弟の香宗我部親泰が、補佐役や諫言者や副将として活躍したことで有名だろうか。歴史に「もし」はない。学者や歴史好きの間でも反実仮想については意見が分かれるところ。豊臣にしても武田にしても長宗我部にしても、弟の死後に後継者ですったもんだして、次の代で滅んでしまったので
「もし豊臣秀長・武田信繁・香宗我部親泰が長生きしていれば⋯⋯後継者で揉めることはなかった」
と論じる人もいようか。
いささか強引だし、反証が不可能なため水掛け論になってしまうが、彼らが生きている間にどのような役割を果たしていて、死んだ後の空白がどのような影響を与えたのかを論ずるという点では、有意義な手法ではないかと思う。そして何よりも論者の歴史観が明確になりやすい。