写真 | ロンドン | Tower of London | ロンドン塔

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Traitor は「謀反人」や「叛逆者」の意味で、チューダー朝時代に、ヘンリー8世に反抗して処刑された人々や姦通罪を問われた王妃たちが、この門からロンドン塔に入った。その門へ通ずる川に面する入口。

夏目漱石は『倫敦塔』にて、「逆賊門」を以下のように描写している。

彼らが舟を捨ててひとたびこの門を通過するやいなや娑婆の太陽は再び彼らを照らさなかった。テームスは彼らにとっての三途の川でこの門は冥府に通ずる入口であった。彼らは涙の浪に揺られてこの洞窟のごとく薄暗きアーチの下まで漕ぎつけられる。口を開けて鰯を吸う鯨の待ち構えている所まで来るやいなやキーと軋る音と共に厚樫の扉は彼らと浮世の光りとを長えに隔てる。彼らはかくしてついに宿命の鬼の餌食となる。